WEB UNIVERSITY 流動性リスクと予測不能リスク 2019.09.05
先生「こんにちは。フドウくん、前回の講義内容は覚えているかな?」
フドウ「はい、ゴードン・グロウス・モデルの分母に入っている3つのファクターについてでした。今回はあと少しだけ知っておかないといけない要素についてですよね?」
先生「その要素っていうのが、不動産市場に発生するリスクなんだ。今回はリスクについて説明していくよ」
清水教授のオンデマンド不動産大学 第8回 ~流動性リスクと予測不能リスク~
今回のキーワード
・流動性リスク
・予測不能リスク
流動性リスクと予測不能リスク
不動産価格の変動を起こすようなリスクを2種類に分けることができます。その2種類が流動性リスクと予測不能リスクです。まず流動性リスクですが、例えば持っている不動産を売るとき、不動産会社に依頼して、買ってくれる人を探さないといけません。一方、同じ投資でも株式投資の場合は買い手を探す必要はなくて簡単に売ることができます。このように、他の投資に比べて不動産投資は売りたいと思ってから実際に売れるまでにかなり時間がかかってしまいます。この『売りたいときに売れない』というのが流動性リスクのことです。
フドウ「たしかに、現金が必要になった時でもすぐには手に入らないし、市場が上昇していても実際に売れるかどうかは買い手が決まるかどうかにかかってますもんね……」
先生「そうなんだ。このような不動産は流動性が低いとされ、流動性リスクを抱えていると考えられるんだね」
次に予測不能リスクはたとえば自然災害やテロ、他国からの突然の攻撃などのことです。自分たちで集められるだけ情報を集めてもなお予測することができない出来事によって不動産市場に大きな打撃が訪れるリスクを指しています。
フドウ「なるほど。これらのリスクがあることを考慮しながら不動産市場を慎重に分析しないといけないんですね」
なぜ市場を見る際、価格を見るのか
フドウ「不動産の価格の決まり方についてよくわかりました!ただ、根本的な質問かもしれないんですけど、どうしてここまで詳細に価格を見ないといけないんですか?」
先生「おっ、良い質問だね!それは、『市場における情報は全て価格に集約する』というのが経済学の原点にあるからだね」
不動産市場で起こっている全ての出来事は、実は価格に反映されています。たとえば、人口が減っている地域があったとすると、その地域の家賃が下がって不動産価格も下落してしまいます。このように、不動産市場全体を知ることはそのまま価格を知ることに直結しているのです。逆に価格を知ることも不動産市場で起こっていることを知るのにつながります。価格に関する要素を知ることで不動産市場全体を理解できるということです。
フドウ「なるほど!価格やその決まり方を理解することの重要性を理解できました!」
先生「それでは、本日の講義はここまで!次回からは不動産ファイナンスの勉強に入ります!」
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Writer:HRI journal 編集部
Tag:#清水教授