BUSINESS TREND 寿命が延びると生じる問題とは?? 2019.09.25
スーパードクター明星智洋による『働く大人の健康法』では、最近著書「先生!本当に正しい『がん』の知識を教えてください!」を出版された明星先生にお越しいただき、弊社代表の吉崎誠二との対談を通じて現代のがん診療について学んできました。今回はスーパードクター明星による『働く大人の健康法』の最終回となります!
最終回では、がんの感染予防や寿命が延びることで発生する医療経済的問題について詳しく教えてもらいます。
スーパードクター明星による『働く大人の健康法』第11回~寿命が延びると生じる問題とは??~
今回のキーワード
・HTLV-1
・がん診療の進歩
感染予防で白血病を防げる!
吉崎「前回のワクチンの話聞いて思いましたけど、予防ってすごく大事なんですね」
先生「その通り。がん治療は近年大きく進歩をしていて、発見が少し遅くなっても確実に治せるような良い抗がん剤治療はいっぱい出てきている。けどつらい抗がん剤治療をやるよりも、早期発見して手術でぱっと切って治すのがもっと良いじゃない? さらに言うとそもそもがんにならないのが一番良いよね。がんにならないための予防医学の中で、究極の選択肢はやっぱりワクチン。ピロリ菌を飲み薬で退治するのと一緒で、ワクチンなどでがんにならないようにしていくのが究極のがん治療だよね」
吉崎「薬やワクチン以外にはどんな予防法があるんですか?」
先生「それら以外だったら、ウイルスが悪さをしているようながんは感染予防ができるね。たとえば、白血病の原因の一種でHTLV-1というウイルスがあるんだけど、これは母乳から感染するんだ。だからお母さんがもしHTLV-1に感染していたら子供に感染してしまう可能性は高い。けど逆に言えば、母乳をあげなければ絶対に感染しないから粉ミルクを飲ませていればその白血病は撲滅できるってこと。これが感染予防の一種だね。このように今まで分からなかった病気の原因が分かるようになってきて、完全に予防出来たり撲滅できたりするがんも増えてきているんだね」
寿命が延びることで出てくる医療経済的問題
吉崎「がんの生存率がますます上がってきているってことですね」
先生「うん、生存率は上がってるし、寿命も延びてきているね。ただ高齢者になればなるほどがんになる確率は上がるから、寿命の延長に伴って『がんが増えている』って言われてしまうんだ。さらに、この現象によって医療経済的な問題も出てくる。高齢者になるほどがんになりやすいんだけど、体力や免疫力が低下してくるから、85歳でがんになって確実にあと10年寿命を延ばすっていうのは現段階では難しいかもしれない。それに対して、高齢者の抗がん剤治療に国の税金を積極的に使うのは財政にひっ迫に繋がるんじゃないかっていうね」
吉崎「生存率の上昇は喜ばしいことだけれど、別の解決すべき問題も発生してるんですね」
先生「その通りだね。医療には多くの問題が付きまとってくる。けれどそれらを一つ一つ解決しながらがん診療は進歩してきたんだね。進歩し続ける医療技術や制度を活かすことで、積極的にがんを予防していきましょう!ということで、『働く大人の健康法』は以上になります!」
吉崎「ありがとうございました!」
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先生!本当に正しい『がん』の知識を教えてください!
明星 智洋 (著), 松本 逸作 (著, その他)
すばる舎 (2019/6/20)
スーパードクター明星による『働く大人の健康法』記事一覧
【第1回】そもそも『がん』って何?腫瘍との違いって?
【第2回】抗がん剤治療ってこんなにも進歩してる!
【第3回】薬に関するお金の問題
【第4回】治りにくいがんの見つけ方
【第5回】がん発見に役立つ検査はどれ??
【第6回】大腸検査でがんを予防しよう!
【第7回】アルコールは健康に良い?がんになりやすい習慣とは
【第8回】生活習慣改善で脳卒中・心筋梗塞は予防できる!
【第9回】男性特有のがん・女性特有のがん
【第10回】女性に多い『スキルス胃がん』とは
【第11回】寿命が延びると生じる問題とは??
Writer:HRI journal 編集部