BUSINESS TREND がん発見に役立つ検査はどれ?? 2019.09.03
スーパードクター明星智洋による『働く大人の健康法』では、最近著書「先生!本当に正しい『がん』の知識を教えてください!」を出版された明星先生にお越しいただき、弊社代表の吉崎誠二との対談を通じて現代のがん診療について学んでいきます。
第5回では、CT検査における放射線被ばくの危険性やPET検査などについて詳しく教えてもらいます。
スーパードクター明星による『働く大人の健康法』第5回~がん発見に役立つ検査はどれ??~
今回のキーワード
・放射線被ばく
・PET検査
がん発見に役立つCT検査、放射線被ばくのリスクは…?
吉崎「普通の人間ドックだとすい臓を見るのは難しいんですね」
先生「そう。それで、超音波検査と比べるとCTはすごく鮮明に見える。ガスがあろうが脂肪があろうが関係なしに見えるから早期発見ができる。本にも書いてることなんだけど、今やっている人間ドックのお腹の超音波をやるくらいなら、絶対にCTをやった方が良いんだよね」
明星先生の著書『先生!本当に正しい「がん」の知識を教えてください!』が6月20日に出版されました。
吉崎「でもCTって放射線被ばくのリスクがあるんですよね」
先生「放射線を使うからそこがちょっと気になる人はいるかもね。でも実際は年に1回全身CTを撮ったとしても、被ばくでがんになったり死んだりするってことはまずないね。逆にPET検査という全身を一度に調べるCTがあるんだけど、これの方が通常のCTより被ばく量がもっと多い」
PET検査の実態とは?
吉崎「PET検査って血管に何か液体入れてるやつですよね」
先生「あれは、糖とくっついて光るという性質があるFDGっていう物質を注射してるの。がん細胞はどんどん無尽蔵に増えていくんだけど、それはいっぱい周りから栄養をとっていて、特に糖をいっぱい必要としているんだ。PET検査で光ったところは糖を大量に必要としているところ。たとえば、脳は必ず光るし、心臓も常に動いているから光る。肝臓も太っていて脂肪肝だったら糖が多いから光るし、造影剤を使っているから腎臓や膀胱も光る。逆にそれ以外のところで赤く光っていたら、そこにがんがあるかもしれないっていうこと。
吉崎「つまり、がんそのものを見てるんじゃなくて、糖をたくさん取り込んでる場所を見てるってことですね」
先生「そう。で、今の話で気付いたかもしれないけど、PET検査では膀胱がんや腎臓がんなど元々光る場所のがんを発見することができないの。他にも、ゆっくり増殖していくがんはそんなにブドウ糖を取り込まないから光らなくて見逃してしまう」
最強の検査の組み合わせ
吉崎「PET検査は万能じゃないってことですね」
先生「うん、だからやっぱりCTが一番がんを発見しやすい。ただ、CTが万能かというとそうでもなくて、CTでは見えない場所があるんだよね。それが食道、胃、大腸などの消化管。これらは筒状になっていて、その内側にがんがあってもCTだと発見できないの」
吉崎「胃カメラとか大腸カメラとかするしかないってことですか?」
先生「そう。だから、がんを発見するために最強な組み合わせは、全身CTと胃カメラと大腸検査をすることなんだ」
(続きます!)
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Writer:HRI journal 編集部