BUSINESS TREND 抗がん剤治療ってこんなにも進歩してる! 2019.08.22
スーパードクター明星智洋による『働く大人の健康法』では、最近著書「先生!本当に正しい『がん』の知識を教えてください!」を出版された明星先生にお越しいただき、弊社代表の吉崎誠二との対談を通じて現代のがん診療について学んでいきます。
第2回では、昨今急速に進歩している抗がん剤治療の現状について先生に詳しく教えていただきます。
スーパードクター明星による『働く大人の健康法』第2回~抗がん剤治療ってこんなにも進歩してる!~
今回のキーワード
・第4の治療法
・抗がん剤の進歩
生きやすいがん?死にやすいがん?
吉崎「具体的にはどのがんが生き延びやすくてどのがんの死亡率が高いんですか?」
先生「早期発見さえ出来ればどのがんでも治すことはできるね。だから、早期発見できなかった場合にどのがんに抗がん剤が効きやすいかっていうのが重要になるんだ。一番抗がん剤が効くのは白血病だね」
吉崎「白血病って治らないイメージがありましたよね」
先生「そうだね。特に、急性白血病の中には骨髄性とリンパ性があって、若い人にできやすいリンパ性の白血病は今まで生存率3割と言われていたんだ。だけど、今年すごい薬の治療法が出た。それがCAR-T療法というんだけど、これを使えば白血病が一発で治るから国が認可した」
吉崎「一発で治るってすごいですね。どんな治療法なんですか?」
先生「CAR-T療法は普通の新薬投与とは違う。CAR-T療法は、自分の体から細胞を取り出し、白血病細胞に効くようにアレンジをして体に戻すっていう免疫療法なんだね。癌の治療は3大治療と言われて、手術・放射線・抗がん剤治療のことを指していたんだ。そして、第4の治療として注目されているのが免疫治療だね。免疫治療として代表的なのが、本庶佑先生が去年ノーベル賞を受賞したオプジーボだね」
抗がん剤の進歩が凄まじい!
吉崎「なるほど。そもそも抗がん剤って何のことを指すんですか?」
先生「従来の抗がん剤は良い細胞も悪い細胞も全部まとめてやっつけるっていうものだった。癌細胞も倒すが良い細胞も倒すため、髪の毛が抜けたり吐き気がしたり手足がしびれたり、こういった副作用がする。ターゲットを絞らず細胞をまとめて倒して、体の中を焼け野原にしているってこと。焼け野原にするとどちらの細胞が早く復活するかというと、正常細胞なんだけどもちろん癌細胞も復活はする。だからそれをまた抗がん剤でたたく。それを繰り返して癌細胞をゼロにするんだけど何度も襲ってくる副作用がきつかったんだね」
吉崎「逆に悪い細胞だけをやっつける薬はあるんですか?」
先生「10年位前に分子標的薬っていう悪い癌細胞にだけ効くが薬出てきたんだ。たとえば、慢性骨髄性白血病という病気では、BCR-ABLというたんぱくが原因だと分かったから、BCR-ABLを阻害するためにグリベックという薬が開発された。慢性骨髄性白血病は以前までは骨髄移植をしても6割しか生きられなかったんだけど、グリベックを飲むだけで99%がん細胞を抑えられるようになったんだ。今は骨髄移植することもまずないし、飲み薬を飲むだけで5年間生存する確率が98%になっている。だから、慢性骨髄性白血病で死ぬ人はほぼいないんだね」
(続きます)
前の記事 【第1回】そもそも『がん』って何?腫瘍との違いって?
次の記事 【第3回】薬に関するお金の問題
Writer:HRI journal 編集部