DATA 東京23区エリア別の特徴的な地価推移傾向 2019.09.27
先日、令和元年都道府県地価調査の結果が公表されました。全国平均変動率は、全用途が0.4%上昇と2年連続の上昇となり、住宅地は0.1%下落と下落幅が縮小しましたが、商業地は1.7%上昇と3年連続で上昇となりました。更に首都圏では、全体の6割を超える2166地点で地価が上昇しました。上昇率は全用途平均で2.2%と前年より0.4ポイント上昇、住宅地が1.1%上昇、商業地に至っては4.9%上昇と、商業地が全体を牽引している状況です。
千代田区の地価は依然突出するも、変動率は鈍化
東京23区の地価公示について詳しく見ていきたいと思います。
図表1:東京23区別 住宅地価格と変動率
最も高いのは千代田区で、㎡当たりが268万円と23区平均の4倍以上になっています。次に変動率ですが、価格でトップだった千代田区が2.9%と最下位になっており、地価上昇の天井感が感じられます。
東京23区の地価推移は都心を中心に城南から時計回りにトレンドが推移?
東京23区で最も地価の高い千代田区とその他の区における1975年からの地価公示の推移は、どのような関係があるのか見ていきたいと思います。
図表2:東京23区別 千代田区との地価公示推移相関係数比較
相関係数とは2つの変数の間にある関係の強弱を測る指標で、相関係数が正のとき変数には正の相関が、負のとき変数には負の相関があるといいます。また相関係数が0のときは無相関で、逆に1に近づく程関係性が強いと言えます(-1に近ければ近い程、負の相関性が強い)。これを見ると、都心6区を中心に千代田区との相関が高く、次いで、城南エリア城西エリア、城北・城東エリアという順番に、相関係数が下がっていきます。次に、千代田区との相関を、それぞれ時差を設けて算出した結果が以下の通りです。
図表3:東京23区別 千代田区との地価公示推移時差相関係数比較(千代田区先行)
先ほどと同じように都心→城南→城西→城北・城東と、都心を中心に城南から時計回りで、千代田区の地価のトレンドが影響している様子がうかがえます。2019年は、荒川区や台東区、北区で地価の上昇が見られましたが、来年以降は、足立区や葛飾区、江戸川区などで大きく地価が上昇するかもしれませんね。
今回は一例として千代田区を中心に分析しましたが、いずれにせよエリアごとに特徴的な動きが見られると考えられそうです。