DATA 一物四価とは?なぜ土地には4つの価格があるのか? 2019.09.04
土地の値段を知りたい…という時、何を調べますか?土地の評価額に関しては様々な指標が有り、「一物四価」あるいは、「一物五価」と言われます。それぞれどんな価格でしょうか。なぜ、煩わしくも4つの価格があるのでしょうか。
一物四価、一物五価とは?
土地の価格は、「一物四価」や「一物五価」とも言われています。一般的に「四価」という時は、実勢価格、公示価格、路線価格、固定資産税評価額と示し、これに基準地価が加わると「五価」と表現されます。各価格の詳細は、後述しますが、イメージとしては以下の通りです。
これを念頭に置きながら、それぞれの価格の詳細と位置づけについて見ていきましょう。
① 実勢価格は需給バランスで成り立つ価格
まずは、不動産業界関係者に最も身近な、実勢価格です。市場において実際に取引が成立する価格のことを指し、売り手と買い手の間で需要と供給が釣り合う価格をいいます。実際に、需要のあるエリアでは、地価公示よりも高い価格で取引されますが、人口減少が続く地方などでは地価公示よりも実勢価格が低くなる傾向にあります。
ちなみに実際に取引された価格の情報は国土交通省「不動産取引価格情報検索」から調べることができます。
② 公示価格は取引の指標となる価格
公示価格は、国土交通省土地鑑定委員会が公表している、毎年1月1日時点の土地の価格です。法令に基づき国家機関等により定期的に評価されている公的地価のうち、個別の地点、適正な価格が一般に公表されているものを言い、日本の土地価格の動向を見る上で非常に重要な指標と言えます。更に厳密に言えば、公示地価法においては、「一般の土地の取引価格に対して指標を与える とともに、公共事業用地の取得価格算定の規準となるよう努めなければならない」とあり、取引の基礎的な評価基準となる指標や規準となっています。ちなみに、「規準」は守る義務があるものですが、「指標」はあくまで目安であり守る義務まではないといった意味合いで使われています。
③ 基準地価は地価公示を補完
公示地価近しい価格として、都道府県が調査する基準地価があります。毎年7月1日時点の9月頃に公表され、地価公示が半年前の3月頃に発表されるため、公示地価を補完するような立ち位置にあります。
なお、基準地価は公示地価の公示区域外においても、標準地となっている地点も多く、公示区域外の地価を知りたいときには基準地価が重要な指標となります。
④ 相続税評価額は価格をピンポイントで把握
相続税や贈与税の課税基準を算出することを目的とした価格です。相続税評価額は(2)公示価格の80%を目安に決定されます。先に挙げたように、公示地価は土地取引の指標となるのですが、実はすべてのエリアを網羅しているわけではありません。国土交通省が全国に定めた地点(標準地)を対象にしており、つまり、代表的な地点のみの価格なのです。一方で、路線価は日本の多くのエリアをカバーしており、調べたい場所の価格をピンポイントで知ることが出来ます。
⑤ 固定資産税評価額はその名の通り固定資産税の算出元
固定資産税や都市計画税、不動産取得税などの不動産に関連した税金を課税する際に基準となる評価額です。固定資産税評価額は公示価格の70%を目安に決定されており、固定資産税評価額は課税証明書に記載されています。毎年1月1日時点に、所有権を登記している人、つまり納税義務者に、各市町村から届く固定資産税の納税通知書に添付されています。また固定資産税評価額は権利者が市区町村の役場に行っても確認可能です。権利者とは納税義務者やその相続人、借地人・借家人などを指します。
さて、固定資産税評価額は、平成6年度より「宅地の評価については地価公示価格等の7割を目途に評価を行うこと(いわゆる「7割評価」)」とされましたが、なぜ地価公示の「7割」なのでしょうか。それは、固定資産税の評価替えが3年に1度なので、土地の価格変動によって納税者が不利益を被らないようにするためです。また、固定資産税が不当に高くならないようにするためでもあります。
目的・用途が異なるので全ての価格が必要
営業活動の中で触れるのは、売買価格がほとんどかと思います。しかし、それぞれの価格の算出根拠や目的、役割が異なるため、4つとも存在しなければ意味がないのです。また、最新のトレンドを把握するため、公表時期がずれているという点も全ての価格が存在する意義と言えるかもしれません。