CRE CRE戦略で重要な「3つの視点」 2020.05.08
CREは4つに分けることが出来る
企業が所有する不動産は4つに大別されます。1つ目の「コア」は経営戦略上、中核に位置する事業に関わる企業不動産のことであり、2つ目は「ノンコア」つまり本業(事業)とはあまり関係のない不動産です。さらに、コアとノンコアそれぞれは、キャッシュを生むものと生まないものに分けられます。
キャッシュを生むコア不動産は、自社が所有するビル(本社・支社)、工場、店舗などです。自社で所有する企業は、毎月賃料が発生するわけではないので、不動産コストに対する概念があまりないですが、そのような場合でも、不動産を借りている場合は、月々どれ程の賃料になり、事業の採算が本当にとれているのかどうかを明確にすることが重要です。コア不動産を所有する企業は、企業内部にコスト意識を徹底させるようにするべきでしょう。
キャッシュを生まないコア不動産は、社宅、福利厚生施設などです。従業員にとって快適で機能的な職場環境を作ることは、結果的に資産性の向上につながることもあり、コア不動産の位置づけとなります。
またノンコア不動産でキャッシュを生む代表的なものは賃貸住宅、賃貸ビル、月極駐車場などです。
キャッシュを生まないノンコア不動産は、遊休不動産ということになります。キャッシュを生まないノンコア不動産である遊休不動産は、融資の担保に入っているかどうかにもよりますが、将来使うかどうかを判断して、売却あるいは何らかの活用をすることを考える必要があります。
CRE戦略で重要な3つの視点
CREで成功する(=失敗しない)ための最も重要なポイントは、不動産を不動産だけの観点で考えない ということです。どういうことかというと、「不動産の視点」だけでなく、「財務の視点」「経営の視点」これらを同時に考えていくということです。
中小企業(オーナー企業)のCRE戦略においては、財務の視点の中でも「借り入れ担保状況」が大きく関係してきます。
また、オーナー企業の場合は、これら3つの視点に加えて、事業承継や相続なども重要なポイントになります。相続は特に大きな問題です。CRE戦略の基礎③ 中小企業の事業・資産承継とCRE戦略で見てきたように、中小企業のオーナーの中には、資産の大半を企業名義にしている例が多く見られ、この点が事業継承を難しくしている面があります。こうしたときに、企業が所有する不動産の中でノンコアな不動産、つまり事業そのものでは使っていないけれどもキャッシュを生んでいる不動産を売却すると、事業そのものには影響が少ないうえに、財産分与がスムーズにいく例も多いようです。また、言わずもがなですが、バランスシートなどの財務諸表からの分析アプローチも重要になります。
創業から30年くらい経つと、時流が大きく変化しており、どんな企業でも「事業内容の転換」や「新規事業の創設」が求められます。また、地方都市の企業が順調に成長を続け、エリア内で一定のシェアを獲得すると、都市部への進出、あるいは企業の買収等を行うケースがあります。こうした転換、新設、拡大といった際の資金源となるのも、所有する不動産かもしれません。たとえば、賃料収入を得ている賃貸用不動産を売却して得た資金を事業拡大に充てることもできます。また、低利用地を一部を売却して、事業拡大や相続のための資金にするということも考えられます。このような場合は、将来使うかどうか、売却するとBSはどうなるのか、今は売りどきか、担保に入っていないか、という先の3の視点で総合的に判断することが重要です。かなりの専門性が必要なので、3つの視点のすべてに精通する専門家(担当者)に相談するといいでしょう。
3つの視点でキャッシュを生むノンコア不動産をうまく活用
このように、中小企業にとってキャッシュを生むノンコア不動産をうまく活用すれば、企業にとって最重要である「企業の永続性」のための再投資が可能になります。また、事業承継や相続の際に起こるかもしれない企業存続のリスクに備えることもできます。
Writer:HRI journal 編集部
Tag:#CRE戦略