CRE CRE戦略の基礎② CRE戦略の歴史 2020.04.03
バブル崩壊後の「持たざる経営」
バブルが崩壊した1990年代以降は、自社の本来の強みに重きを置いた経営が主流となりました。その流れは2000年代以降、特に加速し、不要な不動産、使っていない不動産、またはあまり効果的に使われていない不動産は思い切って処分しバランスシートを軽量化するという「持たざる経営」が主流になりました。
この「持たざる経営」も不動産と企業の関わりの中で、企業の価値を最大化しているという意味で、一種のCRE戦略となります。つまり、このころは「売却」がCRE戦略の中心となっていました。
不動産の取得を目的としたM&A
2000年代以降は中小企業のM&A会社が増えていく中で、企業不動産を取得することを目的としてM&Aが行われる事例も増えて来ました。開発余地があるのにそれを十分に活用しきれていない不動産を放置している企業を買収することで、自社でその不動産の価値を高めていくというものです。
「持つ経営」そして、「どのように有効活用するか」
「CRE戦略の基礎① CRE戦略とは何か。」で取り上げた日本郵政が所有する東京駅のKITTEですが、全国にも不動産有効化は拡がっています。
日本郵政株式会社資料より
なぜ、日本郵政は本業ではない、不動産業に力を入れるようになったのでしょうか。その背景には、郵便事業、銀行事業、生命保険事業などの既存の事業に対する先行き不安があったからだと思われます。本業の先行きが不透明な時期を不動産賃料収入で補い、その収益を持ってその後の新たな事業の立ち上げ、発展につながることを目論んでいることでしょう。
つまり、CRE戦略は、斜陽産業の生き残りや苦戦する本業の次なるステップの足掛かりとして、所有する不動産をどのように活用していくかに力点が置かれるようになりました。
保有する不動産の活用ということで、「すでにあるものの活用」ということになります。本業が不動産関連ではない企業が、銀行から資金を借りて不動産投資を行うというような事例は、最近はそれほど多くありません。現在では「すでにあるものの活用」というかたちが、多くの企業におけるCRE戦略のスタンスのようです。
Writer:HRI journal 編集部
Tag:#CRE戦略