DATA 首都圏中古マンション「供給側」長期推移の考察 2020.11.09
コロナショックを受け、首都圏中古マンション成約件数は一次的に落ち込みましたが、その後回復傾向にあるということは、HRI journalでも、以前お伝えしました。(詳細は「首都圏中古マンション成約件数 8月として過去最高に」をご覧ください)
成約件数は、「需要」と「供給」に見立てると、「需要」に当たります。今回は、「供給側」について詳しくみていきましょう。
新規登録件数・在庫件数は減少傾向に
■首都圏中古マンション前年同月比の推移(2020年1月~)
前述の通り、成約件数は大きく落ち込んだ後、回復し、前年水準にまで戻りつつあります。しかし、新規登録件数と在庫件数は前年比でマイナスが続いています。特に7月以降は、減少幅が拡大しています。新規登録件数に関しては、毎年年末に向けて9月頃から新規登録物件数が増えますが、今年は前年比マイナス14.7%と大きく減少している状況です。
新規登録件数と在庫件数の長期推移
■首都圏中古マンション新規登録件数・在庫件数の長期推移
新規登録件数は特に、季節的な影響を受けやすいので、12カ月の移動平均で算出したものと併せて推移を見ていきたいと思います。新規登録件数と在庫件数の上下の動きがおおよそ一致します。世の中の動向を見て、売り手も適宜行動に起こしている様子がうかがえます。
成約価格により関連しているのは?新規物件?在庫物件?
■新規登録物件数と成約㎡単価の推移
■在庫物件数と成約㎡単価の推移
新規登録物件数、在庫件数ともに成約㎡単価との相関関係が強いことが分かります。「供給」である登録物件数が需給バランスにおいて「需要」よりも多ければ価格が下がるし、少なければ価格は上がると言う、需給曲線の状況下にあると言えます。
更に言えば、新規登録物件の方(0.92)が、在庫件数(0.86)よりも相関関係が強く、新規登録物件の動きの良さが分かります。
前述の通り、新規登録物件数や在庫物件数が減少傾向にあるため、今後、マンション価格が上昇する可能性は十分に考えられます。売却を検討している方は、もしかしたら、売り時と言える状況になるかもしれないので、今後も「成約状況」だけではなく、供給側の動向にも注目していく必要がありそうです。