DATA 首都圏中古マンション成約件数 8月として過去最高に 2020.09.16
東日本レインズによると、首都圏の8月度中古マンションの成約件数は3,053件で、前年比プラス18.2%と二桁増となり、6カ月ぶりの増加となりました。8月としては同機構発足以降、過去最高。一方で、成約価格は3,644万円で前年同月比プラス5.3%で3カ月連続で前年を上回っています。
成約㎡単価はコロナショック以降どう変化したか?
■首都圏中古マンション 成約㎡単価(2020年1月~)
(出典)東日本レインズ
4月は一部の売主による売り急ぎと思われる瞬発的な値下げが行われたと見られ、成約㎡単価は、50.88万円/㎡(前年同月比-4.5%)と大幅に減少しました。しかし、その後は前年同月比プラスで推移し、コロナ前の水準にまで戻してきている状況と言えます。今後の価格予想ですが、中古マンション価格は需給関係に大きく左右されるものなので、以降、成約件数をもとに需要と供給の状況を探ってみましょう。
溜まった需要が成約へつながるか?
■首都圏中古マンション 成約件数(2020年1月~)
4月、5月は、コロナによって一時的なショックがあり成約件数が減少しましたが、徐々に前年の水準に戻しつつあるようです。特に8月は季節柄、成約件数が落ち込みますが、2020年の8月に関しては、過去最高の成約件数となりました。
下のグラフは、価格上昇局面に入る2012年から2019年までの月別の平均成約件数と2020年の成約件数を比較したものです。
■月別 首都圏中古マンション成約件数(2012年-19年平均と2020年の比較)
4月、5月は実質的に営業活動が出来なかったため、成約件数が過去最低水準となりましたが、その間に成約するはずだった”需要”が今後どのように動くのかに注目が集まります。
ネガティブなシナリオとしては、今後、現在の感染状況が長引いたり、もしくは、感染の大きな波が再来したりすると、経済状況が悪化していくことでしょう。そうなると、雇用や収入が不安定となり、人々は住宅購入を控える方向に動き、中古マンションの需要は減退し、成約件数も成約価格も下がってしまいます。
一方で、先述の”溜まった需要”の行き先に関して、ポジティブなアンケート結果もあります。以下は、住宅の購入・建築を検討している人を対象に、コロナ拡大が住まい探しにどのような影響を与えたかをヒアリングした結果です。
■コロナ拡大の住まい探しへの影響(複数回答)
(出典)リクルート住まいカンパニー
コロナ拡大の住まい探しへの影響に関して、「影響なし」が42%、「促進」された人も22%存在するという結果となりました。調査期間が、2020年5月17日(日) ~ 5月21日(木)と少し前にはなりますが、コロナショック直下であっても、あまり影響がないと答える住宅購入検討者が多かったようです。
また、リモートワークの普及でこれまで住宅購入を検討していなかった人が新たに、よりよい環境を求めて、住宅を購入するケースも増えているようです。
現在、首都圏中古マンション市況は回復を見せている
中古マンションは、実需が中心なので中古マンション市況に関しての予測を立てるのは経済の状況を見る必要があります。ただ、現状のデータだけを見て言えることは、首都圏中古マンション市況は回復傾向にあるということです。これは、首都圏中古マンション成約件数が過去最低水準となった4月、5月の時点では考えられなかったことではないでしょうか。そして、今後に関しては、経済状況や”溜まった需要”の行方に引き続き注目していく必要がありそうです。